三浦工匠店 新数奇屋造り100年住宅

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茶室のこころ

ある日、豊臣秀吉公は、利休屋敷を訪ねられました。利休居士は他出されて留守でした。幾度か訪れた屋敷であり、共に茶をすすり、共に語り合った茶室である。期待はずれた軽い失望はありましたが、茶室に通り、炉前にお座りになりました。炉は暖かく耳をすませば、かすかに湯も沸いているらしい。早速炭丹を持ち出され、道具を運び出しますと、湯も音をたてはじめました。

日を経て秀吉公はこの時の床の花の花入れに『今宵の主』と銘名されたと申します。茶室には、これを建てられた方の多年に亘る数々の想いがこめられております。勿論客を迎える為のものであります。

やがてこの茶室の主となり、客を迎える為に、さまざまな工夫がこらされます。道具を選び、庵の内外を清め、花を求め、食事を整え、客を迎えて、心をこめてもてなし、粗略のないように万全を期して働きます。亭主と客との心が通い合って限りない喜びとなります。

客を送り、茶室に戻って坐す。寂として声なき庵の内、先刻のお客の言葉が、顔がよみがえり余韻がなつかしい。今日を省る、素直な心で反省して又、お客を迎える準備がここから始まる。こうして、客を迎えるたび又、いろいろな客を迎えるごとに茶室の歴史が、個性が色こく特徴づけられいくものと思われます。

高い理想と卓越した技術、誠実なお心により、数多くの茶室研究に従事してこられた堀口捨巳先生が、数百年の昔に建設された茶室をごらんになり、この茶室の主と、この茶室に迎えられたであろう多数の客人や、この茶室で交わされた主と客との心の交流を思われて、
『たかく おもい きよく 生きなん ねがいにぞ すきびと みちを えらびたりしか』
と歌っておられます。
このお歌を拝見した時、こみあげてきた熱い思いを忘れることができません。
(文・色摩宗静)




懐石料理を主とする料亭の一角に本格的な茶室をしつらえた。
茶室という囲いの中に一旦入ると、そこは宇宙を凝視した研ぎ澄まされた空間。400年来の茶道の精神が息づいている。


茶室四畳半と寄付き八畳間からなる数寄屋造りの増築。
曲折り広緑の先には、露路庭を設け、山居のたたずまいと呼ぶのにふさわしいつくり。


茶室と水屋を分ける仕切り壁と給水口。道庵囲いを参考に、内法下部だけの壁とした。茶室は本来、このような仮設的な要素を強く持っていた。


道路拡幅工事にともない隠居室、物置を建て替え、母屋の一部を増改築し、石塀を改修した。玄関を畳敷にし、織部床を設けて来客にひとときの安らぎをあたえている。茶室は6畳間を改築して四畳半台目席をしつらえた。

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